HDSDRをWi-Fiネットワークで受信
【 更新日:2019年04月24日 】

SDR(Software Defined RADIO)を日本では、ソフトウェアラジオまたはソフトウェア無線などと呼ばれている。SDRはハードウエアの性能に依存するが、広帯域受信が可能であり、WindowsやLinuxのOS上で作動するソフトウェアである。受信チューナーには、おおむね24MHzから1700MHzが受信可能なドングル(Dongle)と呼ばれるUSB TVワンセグチューナーを使用し、周波数をコンバートすることでLF/MF/HFの受信も可能になる。なお、受信周波数帯に必要なアンテナの接続は必須である。

よく使用されるPC用SDRフリーウェアでは、[HDSDR]、[SDRSharp]など、スマホ用では[SDRoid]などが挙げられる。

ここでは、RTL2832をベースにしたDVB-Tレシーバ用のI/Qスペクトラムサーバー[rtl_tcp]を使用し、[HDSDRをWi-Fiネットワークで受信]する方法を記す。

受信方法は至って簡単で、本機PCに[rtl_tcp]をサーバーとして構築し、Wi-FiやLANケーブルにつながれたクライアント側でHDSDRを作動させる。これによりサーバーが稼働していれば、他の部屋や離れた場所などで、HDSDRの受信が楽しめるというものである。

※ 関連記事 ➡ SDRSharpをWi-Fiネットワークで受信

※ 留意事項
サーバー側のOSが、Windows 10 October Update (Version 1809) を実行している場合は、プライベートネットワークの[Windows Defender ファイアウォール][オフ]に設定する。または、これから下記で作成するフォルダ等を、[Windows Defender][除外項目]に設定する必要がある。

1、フロー図

アンテナからドングルのチューナーへ入った受信信号は、A/Dコンバータ回路でアナログ-デジタル変換され、USB回路でパソコンへ導かれる。その信号を、I/Qスペクトラムサーバー[rtl_tcp]が読み取り、拾ってくれる相手を待つことになる。クライアント側ではその信号を、Wi-FiまたはLANケーブルで拾い[HDSDR]で披露することになる。

2、USB TVワンセグチューナー

チューナーチップに[Elonics E4000]、[Rafael Micro R820T,R828D]、[Fitipower FC0012,FC0013]、[FCI FC2580]のICが搭載されており、デコーダーチップに[RTL2832U]ICが搭載されているものを使用する。(通称ドングルと呼ばれる)
※ ドングルの詳細は ➡ ここを参照。

現在ほとんどが中国製で、入手するには、[RTL2832U+R820T2]で検索し、インターネット購入となる。

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R820T2 & SDR+TCXO(温度補償型水晶発信器±0.5PPM)実装カスタムチューナー単品Blue[RTL2832U+R820T][広帯域受信用][High quality USB-CN][RTL-SDR専用]

参考 入門用としてはこのようなものでも十分作動する。

【 2019/04/23現在 】

ゾックス USBワンセグチューナー DS-DT308SV(¥748 配送料無料)

チューナーチップは[FC0013]LSIを、デコーダーチップに[RTL2832U]LSIを使用している。

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3、rtl_tcp サーバーの構築およびバッチファイル作成

[DVB-Tレシーバ用のI/Qスペクトラムサーバー]を入手し、ネットワークを構築する。

rtl-sdr.comから、RTL-SDRドライバ[RelWithDebInfo.zip]をダウンロードし解凍する。解凍すると[rtl-sdr-release]フォルダが生成される。

上記 [rtl-sdr.com] からダウンロードができなくなった場合は下記からどうぞ!

RelWithDebInfo.zip

フォルダを作成して任意名を付ける。ここでは、[rtltcp]とした。

● 解凍した[rtl-sdr-release]フォルダ内から、サーバーを構築するPCに合わせて[×32]または[×64]のフォルダを開く。

● 開いたフォルダ内にある実行ファイル[rtl_tcp.exe]を、❷で作成した[rtltcp]フォルダに入れる。

● ❷で作成した[rtltcp]フォルダの置き場所は任意で構わない。ここでは、Cドライブのカレントに置いた。

メモ帳などで、下記のバッチファイルを作成する。
バッチファイルとは、コマンドプロンプトの実行ファイルである、

@ECHO OFF
cd /d "C:\rtltcp"
start /min rtl_tcp -a 192.168.1.100

● 作成したら任意名を付けて保存し、拡張子を[.bat]にする。

● ファイルの置き場所は任意で構わないが、Windows Defender ファイアウォールの除外フォルダに設定する場合は、❷で作成したフォルダ内に[rtl_tcp.exe] と一緒に入れると設定しやすくなる。

● 以下は、作成したバッチファイルの解説

2行目の["C:\rtltcp"]は、Cドライブのカレントに[rtltcp]フォルダを置いた場合。

3行目の[/min]は起動と同時に最小化でタスクバーにピン止めする場合。最初からデスクトップに表示したい場合は削除する。

3行目の[192.168.1.100]は、サーバー用PCのプライベートIPアドレスである。

・プライベートIPアドレスは、[192.168.~]で始まるクラスCを使用する。

ポート番号を変更したい場合は、IPアドレスの後に、[start /min rtl_tcp -a 192.168.1.100 -p 2300]のように半角空け、同じ行に連続して設定する。

参考 デバイスの引数を示す。

-aリスニン アドレス
-pリスニン ポート(デフォルト:1234)
-fチューニング周波数[Hz]
-gゲイン(デフォルト:autoの場合は0)
-sサンプルレート(デフォルト:2048000 Hz)
-bバッファ数(デフォルト:32、ライブラリで設定)
-n保存するリンクリストバッファの最大数(デフォルト:500)
-ddevice_index(デフォルト:0)

[rtl_tcp]I/Qスペクトラムサーバーの詳細については ➡ こちらを参照すること。

4、クライアントPCにネットワークアクセスモジュールを設置

クライアント側に、HDSDRソフトウェアが導入されていることを前提に記すが、まだ導入していない場合はこのウェブサイトで紹介している ➡ HDSDR ソフトウェアラジオが参考になると思う。

なお、HDSDRをクライアントPCのみで使用するのであれば、サーバーPCに導入する必要はない。

GitHubからネットワークアクセスモジュール[ExtIO_RTL_TCP.dll]をダウンロードする。(下の画像上をクリックしてもウェブサイトに飛べる。)

上記 [GitHub] からダウンロードができなくなった場合は下記からどうぞ!

ExtIO_RTL_TCP_2019-1.zip

(2019/04/23現在)

現在のダウンロードファイルは、日付付きのZipファイル[ ExtIO_RTL_TCP_2019-1.zip ]になっており、解凍して[ ExtIO_RTL_TCP.dll ]のみHDSDRのカレントフォルダに入れる。

5、バッチファイルの起動およびパラメータの入力

サーバーPC側で、バッチファイルを起動する。

HDSDRを起動する前に、サーバーPC側で前記3の❸で仕込んだ[バッチファイル]をダブルクリックして立ち上げておく。

立ち上げると小窓が一瞬現れタスクバーに張り付く。小窓の内容を確認したい場合は、タスクバーに張り付いたアイコンをクリックすると、下のコマンドプロンプトの小窓が再度現れる。

小窓内に、['rtl_tcp=192.168.1.100:1234']と、設定したIPアドレスになっているのが確認できる。(下線部分)

クライアントPC側で、HDSDRソフトを起動する。

HDSDRソフトは、アクセスモジュールを1つしか使用していない場合は、そのモジュールを組込みながら起動するが、複数使用している場合は、起動時にアクセスモジュールを選択するダイアログが表示される。その場合は、[ExtIO_RTL_TCP.dll]を選択し、ダブルクリックまたは[開く(O)]をクリックすると起動する。

パラメータを設定する。
HDSDRが起動したら[ExtIO]アクセスモジュールの設定ダイアログを表示させ、入力フォーム内に[サーバーPCのプライベートIPアドレス]および[ポート番号]を入力する。

● 基本的には、[サーバー用IPアドレス]および[ポート番号]の2つである。
1つのフォームに入力する場合[:]コロンで区切る。

・ [Source IP:Port]のフォーム内に[192.168.1.100:1234]

● 下は[HDSDR]のアクセスモジュール設定のダイアログを表示させ、[Source IP:Port]のフォーム内に[192.168.1.100:1234]と入力した画像である。入力文字を確認後ダイアログを閉じる。

6、クライアントPCのHDSDRをスタートする

うまくスタートできれば下の画像のように、[クライアントを受け入れたよ!]とのメッセージを出し、進行状況を表示してくれる。(白線より下)

下の画像は、LenovoノートPCをクライアントとして作動させ、7MHz帯のアマチュアバンドを受信している様子である。

7、最後に

無線通信で、クライアントPCからサーバーPCを操りながら送受信をする場合は、リモート操作で行うことになるが、受信のみはここで記してきた方法で行えば、サーバーPCに大きな負担をかけずに済むだろう。

筆者は、HPのサーバーPCにドングルを差し込み、ここで作成したバッチファイルを作動させ、他の部屋にノートPCを持ち歩き、SDRの受信を楽しんでいる。

その他、無線機とHDSDRで同調を取りアマチュア無線通信を楽しんでいるが、最近は無線機を使用せずに簡単なハードウエアとSDRソフトのみで、無線通信を行うシステムの開発が行われている。

アマチュア無線通信を、無線機なしで行う日がやってくると思うと、少し味気無い気がする今日この頃である。

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